みなさんこんにちは 漫画チャンネルのまんちゃん です。
今日レビューする打ち切り漫画は「ラブラッシュ」になります。
一巻の表紙を見てもらえればわかるように、絵は可愛いんですよ。とても可愛い。
前回取り上げた「斬」で描かれた美少女の絵が大根に見えるくらい可愛い。しかし、この画力をもってしても13話という短さで打ち切られてしまった漫画です。はたして何がいけなかったのか…そのあたりをレビューしていこうと思います。
作品情報
作者
山本亮平
掲載誌
週刊少年ジャンプ
2016年38号-50号
前作E-ロボットも打ち切りによって連載終了しており、今作はどうなるか…と思っていたのですが、残念でしたね。
あらすじ
冒頭
1話冒頭より、我々が住む地球には多くの種族が存在し、そのどれもが人と同じ形をしていなくとも恋をするということが語られます。着せ替え人形も恋をする世界なのだから、そりゃミジンコだろうが、バクテリアだろうが恋をしているのでしょうね。
男の中の男遺伝子?!
ところかわり、主人公、白馬レイジの回想シーンに進み、語られるのは主人公が特殊な遺伝子を持っているということ。その遺伝子とは「男の中の男遺伝子」と言って世の女性たちが彼を見ると、空前絶後の超イケメンに見えて、恋をしてしまうというのです。
いかにジャンプが少年向けであるかがわかる、超絶安直な名前の遺伝子だね。ただ、ラブコメでよくある、何故か主人公男子が、登場する女性キャラクター全てにモテてしまう、というのを「そういう遺伝子なので」と一言で解決できるので、設定としては最強だね。
設定としては最強なんだけど、主人公男子が何故モテるのか?というのを主人公の行動や性格で表現するのが作者の手腕の問われるところで、そこを放棄している感はあるけどね。
異種族の求婚者?!
で、そんなモテ遺伝子を持つレイジは毎日のように女子に追われることになるのですが、ある日空から明らかに人外である天使のような女の子が降りてきて、彼女に見初められてしまうのです。
そう、レイジの男の中の男遺伝子は、人間にのみ作用するのではなく、異種族に対しても効果を発揮するのでした。
現れたのは、ココロ・ロコ・ココロというハワイの丼モノ料理みたいな名前の天使だったのですが、レイジと結婚するために天界より降りてきたというのです。そして結婚を迫り、強引にキスをしようとするのですがーー
レイジの「オレ、好きな人いるんだ」発言により、すんどめミルキーウェイしてしまいます。
すべての女子に好かれる遺伝子は人間に限らなかったんだ。異種族まで登場してきて、ちょっと設定が渋滞してきたね。
もう一人のヒロイン登場
ここで主人公がかねてより好きだという、もう一人のヒロインが出てくる流れかな。ラブコメの王道、ダブルヒロイン制をとっているんだね。
空中で天使の羽によりアツい抱擁を食らっていたレイジが落ちるのは、レイジの想い人である、一宮シズク宅でした。
金髪碧眼ヒロインの対になるのはやっぱり黒髪の美少女だよね。レイジとシズクは幼馴染なのですが、レイジの想いは一方通行で、どうやらシズクはレイジのことを何とも想っていないようです。
レイジもシズクに想いを告げられずこう着状態が続いていたのですが、ロコモコ丼の登場により1話目から恋のトライアングルが完成するのです。
と、思いきや、グイグイ系のヒロイン・ココロの言葉に心を動かされ、レイジは言えないままだった「好き」という気持ちをシズクに伝えるため、家を飛び出します。
そしてまさかの1話告白で最速打ち切りエンドかーー?!
と思いきや、数多の種族がレイジの前に現れ、レイジへの想いを口々に叫び始めるのでした。
たくさんの異種族が登場?!
さすがに1話からヒロインへの告白はありえないか。それと恋の三角関係かと思いきや、ココロ以外の異種族が現れて、レイジを巡って、文字通り異種格闘技戦が始まるわけだね。そして様々な種族に阻まれながらも、物語の最終目標はレイジがシズクへ告白すること、って感じなのかな?なかなか面白そうじゃん!
面白くなっていくー、と思っていたのですが、残念ながらこの異種族の大半は深掘りされることなく終わってしまうのです。
打ち切り理由
最後まで読んだ結果、打ち切りとなってしまった理由として挙げられるのは、
・物語のブレーキがガバガバ
・設定が生かしきれていない
・〇〇の廉価版?
というところです。一つずつ説明していきますね。
物語のブレーキがガバガバ
これに関してですが、青いのが言っているように、この漫画の最終目標としてはやはりレイジが好きだと明言している幼馴染・シズクへの告白だと思うんですよね。だがしかし、その目標は第二話にして完遂されてしまうのです。
ラブコメにおいて最高のカタルシスを味わえる瞬間の一つである告白イベントが2週目で達成されてしまうんです。そして5話目にして、シズク自らキスを求めるまでの急展開へと進んでしまうんです。これはもう編集と作者が打ち切りを予見していたのかと思うレベルですよ。読者としては、あれ、これもうゴールしてるじゃん。と感じてしまいますよね。
設定が生かしきれていない
遺伝子レベルで好かれる主人公
まずこれがちょっと活きていないかなあと。シズクに対しては効果を発揮しないという矛盾も、作中では「幼馴染だから」で説明されていましたが、ちょっと納得できませんし。
異種族の出現
人間のみではなく異種族にも好かれるというのはアリだと思います。ただ、2話以降個性的な異種族が出てくることにより、ココロは良いとして、相対的にただの人間である「シズク」が割と普通に見えてしまうんです。
個人的に思うのは、ヒロインはココロ一人で良かったのではないかなと思っています。キャラクターとしてのシズクは大好きなんですけど、シズクがいなければ、ココロ対、他の全異種族という関係になって、レイジに求婚しにくる異種族をばったばったとなぎ倒しながら、レイジとココロが徐々に親密になっていく…みたいな流れの方が自然だったかなと。
〇〇の廉価版?
ジャンプにおいて、このような異種族とのラブコメを描くにあたり、やはり読者の脳にチラつくのはトラブルなんですよねー、三角関係の描き方など少しトラブルを意識していたのではと思いますが、伝説級の異種族間ラブコメにはちょっと及ばない感じはしてしまいますよね。このあたりが読者にあまり受けなかった要因なのかなと個人的に思っております。
最後は?
物語の最後は、シズクが確かに抱いていながらも、はっきりと表すことのできていなかったレイジへの「恋心」を恋敵であるはずのココロにより気づかされ、レイジに告白の返事をして、二人は結ばれて連載終了となります。
やはり10数話そこそこではラブコメの盛り上がりを描き切るのは難しかったのか、最後は結構無理やり人間同士を結ばせたという印象でした。結局レイジとシズクが互いを好きな理由って幼馴染だったからというだけでしたし、シズクがレイジのことを好きなのは謎遺伝子の影響を受けていただけなんじゃないかという可能性も拭えないので消化不良感は否めないです。
まとめ
登場する異種族たちはそれぞれ個性的で、魅力的ではありました。おまけページを見るとまだまだ異種族を出したかったのかなとも感じたので残念です。
やはり次々と出てくる異種族をバッタバッタとなぎ倒し、最終的にはココロが正妻となるまでの物語で描いていたらなあ。ただ、パン一斤を一口で頬張るヒロインのシズクは本当に可愛かったです。この内容でも5巻くらいは続いてもおかしくないのになあ、当時の読者は厳しかったのですかね。
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