みなさんこんにちは 漫画チャンネルのまんちゃん です。
はい、本日紹介する打ち切り漫画は「最後の西遊記」になります。
つかみは完璧だったのに、そのあとが残念だった漫画です。
野上大二郎先生による漫画で、週刊少年ジャンプにて2019年14号-38号まで連載されていました。
読み終わった後に気づいたんですが、無刀ブラックの作者による漫画だったんですね。
いつか無刀ブラックもレビューしたいな..
作品情報
作者
野上大二郎
掲載誌
週刊少年ジャンプ
2019年14号 – 38号
あらすじ
冒頭
お面でも被っているのか、人間のそれではない顔をしていて、人形のような手足をした女の子が暗がりで椅子に座っています。
彼女の名前は杜コハル、目が見えず、手足は冷たい、そして彼女の声は、世界を滅ぼすことができる。というのです。
そんな、彼女の映像が、その声と共に動画サイトに投稿される。
という何とも不気味なシーンから始まります。
少年の日常が崩壊する
ぞくぞくしますよんね!
ところかわり、主人公の龍之介は始業式を終え家に帰っているところ。
これから始まる学校生活に胸を踊らせていたのですが、家に帰ると、そこには車椅子に座る女の子と父親の姿がありました。
そして龍之介が父親から告げられるのは、目の前のその女の子がコハルという名前であることと「今日からお前の妹」になるということです。
一つ屋根の下、突如現れた妹とのラブでコメな日常が始まるかと思いきや、もちろんそんな話ではありません。
父親より、目が見えず、手足が使えないコハルを、これからは龍之介が一日中介護するのだと言われます。
楽しみにしていた学校生活を送ることもできず、コハルの面倒を見続ける日々。
動けず、喋れない妹とはコミュニケーションもまともにとることはできないのですが、三ヶ月も生活を共にしたことで、徐々に互いの心の距離が近づいていきます。
そんなある日の晩、龍之介が目をさますと横に寝ているはずのコハルがいません。
物音のする隣の部屋を開けてみると、そこにコハルが宙に浮いているのです。

超展開来たね。
妖怪ファンタジー開始!
あっけにとられる龍之介を無視して、コハルが「うしろ」とつぶやくと、龍之介の背後に人ならざる妖怪が現れます。
即座に父親が現れ、その妖怪は退治されるのですが、そこで父親よりコハルの正体について打ち明けられます。
それは、
コハルは人ではなく「神に近い存在」で、その声は他人の恐怖を実体化させてしまうということ
コハルが悪意を持って力を利用すれば世界は妖怪であふれてしまうということ
コハルが人に悪意を持たないよう、人を好きでいさせるため、龍之介を愛させるため、龍之介に接触させたということ
その事実に驚愕する龍之介ですが、運命を受け入れ、コハルを守ると誓うのでした。という話です。

妖怪ファンタジーものなのかな?
それにしても冒頭のシーンが気になるね。
コハルの姿を動画サイトで世界に晒すことで、それをみた世界中の視聴者たちの恐怖が実体化しちゃうんじゃないの?
打ち切り理由
youtube舐めんな。初投稿の動画は10再生もいかねえんだよ。
というのはおいておいて、そこは気になりますよね。
私を含む読者は冒頭のシーンから、どうなるのだろう?!とワクワクしたはずなんです。
が、その真相は詳しく描かれることなく打ち切りとなってしまいました。
では、今回も私の考える打ち切り理由を3つご用意したので解説にいきましょう。
- 主人公が妹を守る動機が弱い
- おあずけが長い
- タイトル詐欺?
になります。それぞれ解説していきますね。
主人公が妹を守る動機が弱い
「誰かを助けるのに理由はいるのかい?」という名セリフがファイナルファンタジー9の中にありますが、そりゃあいるでしょ!
主人公の目的はハッキリしているのはわかります。
「妹を守る」ということです。
そして妹を守る上で、様々な妖怪や困難が待ち受けているのだろうなというのもわかります。
ただ、妹を守るという動機が弱いんです。
一応、龍之介がコハルを守ると誓ったきっかけはあります。
龍之介がコハルの世話をサボった罰として、龍之介が父親に蔵に閉じ込められる罰を受けます。
龍之介は完全な闇と化した蔵の中で、目が見えず、声すら出せないコハルの状況や恐怖がどれほどのものなのかを理解し、コハルを守ろうという決心をするのです。
ただ、龍之介にとっては、今まで会話はおろか、会ったことすらない赤の他人の介護を父親に無理やり押し付けられているわけです。
しかも自分の生活を全て投げ出して。
それを、コハルも大変そうなのはわかったからといって、「よし、守ってやろう!」という気になりますかね。
ここの動機付けが弱いので、こんな聖人君子みてえな小三男子なんていねえよ!と思ってしまうのです。
ここはやはり、コハルは本当の妹として共に暮らしていて、ある日、不思議な力を持ってしまった。
などにしておけば「妹を守る兄」として成立したかと思います。
家族を守るのに理由はいるのかい?と問われたら理由はいらないとまでは言わないまでも、多少動機が弱くても納得できるのですが。
おあずけが長い
冒頭でコハルが一人暗がりで椅子に座っている動画を配信しているシーン、この始まり方は非常に良かったと思います。
なんで仮面のような顔をしていて、人形のような体をしているのか?
その声で世界を滅ぼすとはどういうことなのか?
と私は打ち切られているのを知っていながら「これは名作になる予感がする!」とわくわくしておりました。
が、蓋を開けてみると一向にこの謎のシーンについて語られません。
語られないどころか、そんなシーンありましたか?とばかりに世界観や設定の説明などが語られていくのみなのです。
とっておきのデザートを最初に見せておきながら、それを食べさせてくれないというサディスティック展開に、読者は待ちきれなかったのでしょう。
タイトル詐欺?
この漫画のタイトルって「最後の西遊記」なんですけど、主人公が如意棒を武器にしているっていうこと以外は西遊記要素が薄いんです。
西遊記の原典?をなぞっている物語のようなのですが、三蔵法師も沙悟浄も猪八戒も出てきません。
端的に言うと、西遊記ってタイトルいる?!ってことです。
西遊記のような仲間を集めての冒険ものかと思ったら全然違ったので肩透かしをくらいました。
西遊記要素なくして「最後の妖怪」で良かったんじゃないかなあ…
おそらく冒頭のシーンに繋げるために、かなり綿密に練られた設定や物語の構成があったのでしょう。
コハルが恐怖を妖怪として顕現させることができる設定も細かく説明してくれていました。ただ、その説明をじっくりと聞いてくれる読者はやはりジャンプにはいませんね。
終盤は、丁寧に説明するはずだったである設定をギュッと凝縮してしまったためか、かなり駆け足で、肝心の冒頭のシーンも詳しく説明されることなく、消化不良感の残る作品となってしまいました。
まとめ
もう、サムライ8のあとであれば、この程度の説明など苦もなく読み進めることができました。むしろ余白が多いと感じるくらいです。
また、長い説明も理解してしまえば、あとの展開はとても面白かったです。
また、この漫画はテーマとしているであろう「愛」は様々な形で語られます。
- 龍之介とコハルの兄妹愛
- 龍之介と父親の親子愛
その他、師弟愛なども語られるのですが、けっこう涙腺に来るものがありました。
最後には主人公たちが少し成長した姿で登場するのですが、そこに至るまでに色々と物語を考えていたのだろうな、と思うと残念です。
というか成長したコハルちゃんが可愛い。
喋ることできず、感情も希薄だったコハルちゃんが年相応に無邪気な振る舞いができるようになったであろう未来が見たかった。
何より冒頭のシーンをちゃんと読みたい…これも連載再開希望ですわ…
コメント