みなさんこんにちは 漫画チャンネルのまんちゃん です。
はい、本日紹介する打ち切り漫画は「初恋限定。」になります。
河下水希先生のいちご100%以来の週刊少年ジャンプでの連載作品となります。
物語としては青春群像劇と言いましょうか、思春期の中高生の恋愛模様を描いている作品です。
「初恋限定。」は打ち切り後にドラマCD化やアニメ化しているんですよ。
こんな漫画珍しいですよね。
これって連載時からメディアミックスの企画とかきているはずなんだけど、それでも打ち切るっていうのは、いかにこの打ち切り制度が覆し難いものであるかを物語っているね。
作品情報
作者
河下水希
掲載誌
週刊少年ジャンプ
あらすじ
冒頭
第一話からページをめくると怒涛の美少女ラッシュです。さすが河下水希先生、女の子を描かせたら右に出るものはそうそういませんね、いつもお世話になっています。
で、彼女たちは男の子に告白されたらどうする、といった恋バナをしているようです。
その中の一人、有原あゆみは、一度でもいいから告白されたい、告白されたら無条件で付き合っちゃうなどと言います。恋に恋する女の子ですね。
下校中そんなことを話しているとあゆみたちの前に大男・財津が現れます。
財津は手紙をあゆみに渡すのですが、その内容とは、あゆみへの思いが綴られたラブレターだったのです。
告白されたら誰とでも無条件で付き合っちゃうなんて言っていた罰なのか何なのか、全くタイプではない上、断ったら乱暴されるんじゃないかと悩むあゆみ。
答えが出ないまま一晩を過ごすのですが、翌朝からは告白の返事を待つ財津につきまとわれてしまうのでした。
美女と野獣?
その後、あゆみが不良たちに絡まれ、というかナイフを突きつけられ拉致されるのですが。
そこに財津が助けに入り、あゆみを救うのです。

1話からなかなか強引な展開。パコさんだって8話までなりを潜めていたのに。
でも、わかったよ!あゆみは助けてもらったことで財津に恋をするんだな。初恋限定。はブサイクと美少女の恋愛モノだ!
そうなると私も思ったのですが、違いました。
助けてもらったあゆみが財津を蹴り倒して一話は終わるのです。
ここから徐々に親密になっていくのかと思いきや、二話では、財津の弟・衛の話が始まります。
オムニバス形式の物語
二話では衛が、隣に住む幼馴染で二つ年上の山本岬に恋をしているということが語られます。
そして三話ではまたメインの人物が変わり、岬の同級生の上村が江ノ本に恋をしているということが語られます。
はい、もうお分かりですね。
作品紹介のときに青春群像劇と言ったように、この作品は多くの登場人物の恋愛模様がオムニバス形式で展開されていくのです。
打ち切り理由
少女漫画とかでは割と見る形式だと思いますが、ジャンプのラブコメでは珍しいかもしれませんね。
個性豊かな女の子たちがたくさん出てきて、様々な形の恋愛が描かれる本作。絵に関しては河下水希先生ですので言うことなし。
では、なぜ打ち切られてしまったのでしょうか。
私なりに考えてみましたが、その理由とはずばり
- オムニバス形式のジレンマ
に本作がぴったりとハマってしまったことが問題だと思われます。
初恋限定。は主要となる女の子8人の恋愛模様をが一話ごとに一人ずつ描かれていきます。
このようなオムニバス形式で描かれることの利点は、それぞれの恋愛事情や人間関係が、メインとする人物を変えることで様々な視点で見えるところですね。

私この形式好きだな。
登場人物たちのあの会話がここに繋がってくるのかと気づきがあったり、それぞれの意外な関係性が回が進むごとに明らかになっていくのが楽しんだよね。
細かい伏線を発見していくのが楽しいですよね。
ただ、利点がある一方でオムニバス形式の抱えるジレンマ、問題点として
- キャラクター毎のをメイン回を描かないといけない
- キャラクター人気が分散する
- キャラクター毎の最終回を描かないといけない
というのがあるんです。
キャラクター毎のをメイン回を描かないといけない
本作は主要となる女の子が8人います。つまり、それぞれを紹介するには最低でも8週かけてメイン回を描かないといけないんですよ。
一気に読み切るなら良いでしょうが、連載当時の読者は全員紹介されるまで多少もどかしい思いをしたでしょう。
また、お気に入りの登場キャラクターができたとしても、その子のメイン回が終わったら、次のメイン回がくるまで極端なことを言うと8週待ってないといけないですからね。
キャラクター人気が分散する
となるとお気に入りの子が出ていない回は読み飛ばされてしまったかもしれないです。
また、もし8人の女の子に均等に人気が分かれていたとしたら、アンケートによる人気投票も毎回バラついたり、少なくなってしまっていたのかもしれないですね。
そうならないよう、どの子も個性的で可愛く描かれているんですけど、多少は影響が出たでしょうね。
どの子に人気が出るのかわからないので、とにかく多めに出しとけという意図なのかもしれませんが、私は8人もメインキャラはいらなかったと思います。
中には突如現れた男の子に恋をしたが、その男の子が即留学してしまうという、雑めな恋愛させられちゃう子もいたりで残念でした。
このようにのキャラクターの掘り下げにもバラつきも出てしまったので、4人くらいにしておけば各キャラクターの恋愛を掘り下げることができたでしょう。
キャラクター毎の最終回を描かないといけない
結果として打ち切りで終わってしまったですが、打ち切りのためそれぞれのキャラクターの最終回を描くほど話数は与えられません。
おそらく打ち切りが決定後に急造したであろう展開で、それぞれの恋愛を片付けてしまうんです。
このように、オムニバス形式が抱える問題点にもろぶつかってしまった漫画だと思います。
というか、こういった問題点があるからジャンプではなかなかこの形式の恋愛漫画がかかれなかったのかもしれませんが。
作者のあとがきによると、編集の意向からこの形式になったようなのですが、うまくいかなかったですね。
また、それぞれのラストをちゃんと描けなかったのは作者としても残念だったようです。
まとめ
色々と本作の問題点ばかりあげましたが、先生の漫画はその絵だけで読めると思ってるので、最後まで楽しく読めましたよ。男性作家が描く女の子と違って、いやらしくなり過ぎないのが好きです。
物語は、幸いにも私のお気に入りの金髪ツンデレキャラが納得のいく最終回まで描いてもらえたので、こちらも大満足ですね。
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