みなさんこんにちは 漫画チャンネルのまんちゃん です。
はい、本日紹介する打ち切り漫画は「学糾法廷」です。
原作は榎伸晃先生で、作画はあの小畑健先生になります。
ヒット漫画の作画請負人である小畑先生による週刊少年ジャンプでの新連載!ということで期待していた読者も多かったと思うのですが、はたしてどうなってしまったのでしょう。
主人公は小学生ながら「趣味は論破」というサイコな野郎なのでお楽しみに。
作品情報
作者
原作:榎伸晃
作画:小畑健
掲載誌
週刊少年ジャンプ
あらすじ
学糾法廷制度?!
本作がどんな漫画かというと、いじめや体罰などの学校で起こる問題により、世はまさに学級崩壊時代を迎えています。
そんな学校にはびこる様々な問題に対処するため政府より革命的な新制度が導入されます。
その名も「学級法廷制度」。
学級法廷制度とは、子供達の子供達による子供達のための制度です。
この制度により問題が起こったクラスへ政府から2名の転校生が派遣されます。
一人は検事・一人は弁護士です。その両名が、問題を起こしたと思われる生徒、つまり被告人の捜査や弁護を学級会において行うというものなのです。
つまり生徒により裁判が行われるという制度なのです。

まるでゴッコじゃの。
そう、国をあげた裁判ごっこなんですよね。
そのような世界観で、主人公で弁護士の犬神アバクと、検事・半月パインが、ある事件が起きた学校へ転校してくるところから物語は始まります。
その事件とは「スズキ君バラバラ殺人事件」です。
スズキ君バラバラ殺人事件
殺人事件と言われながら、スズキ君とはクラスで育てていた魚のことでした。
スズキ君は担任の薦めにより食育のもと育てられていたのです。
しかしスズキ君に情がうつる生徒もいたため、クラス内で育てたスズキ君を「食べるか」「食べないか」の議論が行われました。結果、得票差で「食べない」と決まったのですが、その数日後、何者かがスズキ君をバラバラにしてしまったとのです。

シンプルにトラウマになるわ!
で、アバクはスズキ君をバラバラにしたと疑われている生徒の弁護のため派遣され、パインはその生徒を捜査するため派遣されたわけだ。
そのとおりです。そして始まった学級会という名の裁判。
検事であるパインにより様々な証拠が提出されるのですが、異議あり、と反撃ののろしを上げたところで一話は終了です。

登場人物全員子供という突拍子もない設定で行われる裁判により、学校での様々な問題を解決していくという物語なんだね。設定自体は面白そうに感じだけど、どうして打ち切られちゃったんだろ。
打ち切り理由
はい、例によって打ち切り理由を3つにまとめました。どどん。
- 大人は何をしている?
- トリックが雑ぅ
- 小畑先生の無駄遣い
になります。
大人は何をしている?
こちらですが、まずは先に話したスズキ君殺人事件の真犯人をお伝えします。
なんとの担任の教師でした。
担任自らが食育のためと提言して育てた魚が生徒たちの投票により「食べない」となったことに納得できず、被告となった生徒を脅迫して魚をバラバラにさせたのです。
そして裁判の結果、担任に対し下された刑は「廊下の雑巾掛け100往復」でした。
生徒への脅迫とかかなりの罪だと思うんですが、何の忖度が働いているのかこの程度の刑なんですよね。
その他にも検事として大人が登場し、アバクと学級会で争うことになるのですが、大人検事のやりくちが「証人への威圧による言論統制」なんです。
これが大人のやることですかねえ、そりゃあこんな大人ばかりであれば、この世界の教育現場が崩壊するわけだと思うわけです。
トリックが雑ぅ
学級会でとりあげられる問題・事件はどれも、まず検察側が様々な証拠をもとに被告を追い詰める、それに対して弁護側が検察が見つけ出せなかった真相・トリックを提示して逆転勝利するというループです。しかし、どのトリックもそんなことある?!と思うような雑さなんですよね。
特に顕著なのが終盤で起こる「白鳥麗子殺人未遂事件」です。
この事件は生徒である白鳥麗子が鍵のかかったウサギ小屋で倒れていたことから始まります。
いわゆる密室事件です。
被告は近くで脱走したウサギを抱えていた生徒・凶器は屋上にあったバットであるとされ、検事に追い込まれます。
ですが、その事件の真相はこうです。
白鳥麗子はウサギ小屋の前を歩いていると小屋の鍵が空いていることに気づきました。
「鍵を閉めてあげないと」と思ったその時、屋上で野球をしていた生徒が打ったボールがたまたま麗子の頭に直撃してしまいます。
麗子は意識が朦朧としつつも「鍵を閉めなきゃ」という思いが強かったため、意識が途切れる間際、ウサギ小屋の中に入り鍵を閉め倒れたのでした。
QED。

何と責任感の強い女の子なんだ…って無茶あるでしょ!
上空3000メートルから落としたゴルフボールがカップの中に住むモグラの鼻の穴に入るくらい可能性低いよ!
あと、屋上で野球やるな、バカ!
もちろん私の説明も端折ってる部分はあるんですが、大筋こんな感じなので、ほんと無理があるんです。
にも関わらず読者に対して、推理してみよ、とばかりに「空欄に埋まるものを答えよ」みたいな難題が出されるんです。
わかるはずもないし、答える気も起こりません。
こんな事件ばかりで、毎回真相が明かされるたびに、できの悪いピタゴラスイッチを見せられているような気分がしてモヤモヤするんですよ。
また、基本的には主人公の都合のいいようにできた事件を解決していくので、検事として出てくるキャラクターが常にかませ犬的な立ち回りになってしまうのも残念でした。
当初アバクのライバルとなるのかと思った検事のパインは毎度やられっぱなしでしたからね。
せっかく集めた証拠も。アバクの「異議あり!」の一言で逆転させられてしまうので。
検事側と共闘するような事件を設けて、パインちゃんとの関係が深まるようなエピソードがあれば良かったんじゃないでしょうか。
ジャンプなんだからラブコメ要素加えておけばいいんだよ(暴論)
小畑先生の無駄遣い
この漫画の最大の疑問は「なぜ小畑先生が作画を担当されたのか」ということですよね。
もちろん絵に関しては言うことなしなのですが、個人的な意見をいうと頭身の低い小学生のようなキャラクターを描かせてもあまり映えないですね。
また、推理パートの台詞量が多すぎて、絵が頭に入ってこないです。
原作の榎先生もあとがきで小畑先生に作画をしてもらえたのはバク運だと書いていましたが、せっかく作画担当ガチャでSSランクをひきあてたのに、うまく使うことはできなかったみたいですね。
どうしても物語が絵に追いついていないと思ってしまいました。
はい、これら三要素により打ち切りまで至ってしまったと思われます。
裁判官。以上です。

異議あり!
小学生が学級会と称して裁判を行うという設定は斬新で良い!
それにあなたは説明していないが、小学生が殺人事件まで扱うことができるよう、厳密な試験制度をくぐり抜けた生徒のみが弁護士・検事になれるという描写もある!
あと、そもそも大人がダメダメだから生徒による自主性をもって問題を解決することを目的とした制度なので、この世界において大人がクズなのは当然です!
あと加虐心が一定値を超えるとボンテージ姿になるという、サディステック検事・喜嶋のデザインは秀逸であり、これだけでも小畑健を作画担当に迎え入れた意味はある!
以上。学糾法廷は名作!
まとめ
静粛に。
小学生による裁判という設定は光るところもありながらも、物語・トリックは荒削り、小畑先生の手を煩わせたことも加味するとこの評価は妥当と言える。
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